ロジハラ(パワハラ)がなくならないワケ

私は、東証プライム上場のITコンサルティング会社にて、EAP(従業員支援プログラム)を推進し、定期的にカウンセリングを提供している。
最近、暴力や怒号罵声を浴びせられた、というような相談はほとんどなくなったが、立場の優位な社員から、正論で追い詰められて、結果的に体調不良に陥ったり、出社できなくなってしまった、という内容の相談は、相変わらずだ。
2020年6月に労働施策推進法第30条にパワーハラスメントの定義(パワハラ防止法)が追加されたことを受け、様々なコンプライアンス教育を企業が取り上げるようになった。
マネージャー向けに「最新ハラスメントの知識とその実際(事例)」等を、厚労省の特設委員のような有識者が行う講演会や、あまり知られていない役者がオーバーな演技をして、ハラスメントを視覚的に理解させようとするオンデマンド型の教材は、ネットを検索するとかなりの数がヒットする。

はたして、このような講演会や教材で、ロジハラ(パワハラ)の低減に結びつくのだろうか。

ロジハラについて、約100年前、三大心理療法家の一人、ユング(Carl Gustav Jung)が、以下の名言を残している。
「真っ当な方を連れてきてください。 私がその方を治療してあげましょう。」
悩めるクライアントの相談を受けて使った言葉のようだ。
一方で、ロジハラを起こしてしまう当事者(加害者)には、悪気はない。業績のため、プロジェクトのため、お客様のため、チームのため、部下のため等、それぞれの正義があるため、罪の意識が生まれにくい。「正論」で追い詰めているので、当事者は良い行いをしているつもり。
つまり、意図的にハラスメントを起こしてはいない。  EAPの現場では、その紛争解決は難しく、被害者を引き離すのが唯一の有効なフォローになっている。

マネジメントレイヤーに求められる姿として、
「正論」は全能的なものではなく、立場や状況が変われば「正論」ではなくなることを理解し、周囲の関係者が幸せになる最適解を、常に考え続けなければならないのです。

アービンジャー・インスティチュートが提供する「箱」セミナーのオプションレクチャーでは、ハラスメントが発生するメカニズムを解明するとともに、自らの心の動きを知り、相手のことを思いやる気持ちを持つことができる空間を体感します。
そして、相手の人格を尊重し、「箱」の外で尊重しあうことの大切さを学ぶことができるのです。

https://arbingerjapan.com (アービンジャーインスティチュート・ジャパン 公式サイト)